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「ネコとネズミの、あるいはラフストーリー」

足りないものは何なんだろうか。
観劇後、そう思うのは何故なんだろう。

期待し過ぎているとは思わない。
細部にこだわっているわけでもない。
演出とか、断然、力を増したと思った。

台本と役者だな。
やはり。
と、思わざるを得ない。

今まであたしは、彼等は「自分たちのやりたい事をみせたい」という公演なのだと思って観ていたので、それはそうと受取り、さほど不満を感じなかった。

しかし、作・演出の「これから」が知れて来たことで、「観客の事を考えているのか?」「広く伝わる芝居が出来ているのか?」、という見かたに変わってしまった。

そういう点では、ぎりぎりな線を辿っていたと思う。

台本の組み立ての甘さや、役者が演出意図に着いて来れていないのだろうと見れる場、また、その技量の足りなさを照明や音響の効果でカバーしない(出来ない?)演出、という点で辛口になってしまう。

これは、彼には大変な迷惑であろうが、作・演出への期待があるからこそ生まれる感想でもある。

主軸はしっかりしている。
物語としての展開も分かりやすく、心に届く。
笑える場では大いに笑った。

それでもなお
「あなたなら、もっと書けたでしょう?演出できたでしょう?」
と思ってしまう迷惑な期待。
しかし、彼には大きすぎる期待だとは思わない。
出来るはずだ、何故しない?
と、思う。

これは12月、アイアンシアターでの九州若手規格公演が、いよいよ見逃せないな。
そう思った。

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